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使わない理由で使わない自分を正当化していませんか?

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こんにちは。
KokoDoki Companyの藤原です。
前回「翻訳支援ツールが翻訳会社ファーストなのは当たり前」が意外にご好評いただいたようなので、勢いついでに書いてしまいます。

実際に翻訳支援ツールに使用が拡大している現在の翻訳業界において、色々な理由で「私は、翻訳支援ツールを使用しません」と言っている方が数多くいらっしゃいますが、現在の翻訳会社とそのクライアントからの流れからしてみても、翻訳支援ツールの使用が必須となるにはそう何年もかからないと思います。

仕事で色々検索しているときに、数年前のIT翻訳者のブログ記事に到達したのですが、その当時でIT翻訳者の方は、「10年前から普通に翻訳支援ツールは使うように指示されている」と書いていました。

私が使用しているのは、主に特許翻訳分野ですが、「翻訳支援ツールが翻訳会社ファーストなのは当たり前」でも書いたように特許翻訳での翻訳支援ツールの使用はまだまだ後進です。

ですが、特許翻訳分野だからこそ翻訳支援ツールが活きる点も多々あるかと思います。なので、現在は後進であっても、来年の今頃どうなっているかはまったく想像がつきません。

SDL社の翻訳会社やそのクライアントとなる企業への営業努力がすごいという話も書きましたが、他の翻訳支援ツール、特にMemsourceも現在は企業戦略にかなり力を注いでいるように思われます。

となれば、翻訳者は「翻訳支援ツールを使用する案件には対応していません」と翻訳会社に伝えることで、仕事を獲得できるチャンスを自ら逃していることとなります。

2年前の突然の方針変更

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ちょうど2年前、登録している翻訳会社から、「○月からはTradosを使用していただくことになります」という連絡が入りました。その連絡から1ヶ月超ぐらいは、その会社からの打診がストップしたので、翻訳会社の方もその対応に追われたのだと思います。

その翻訳会社の担当者とはお会いしたことがありましたので、裏話的な話もしていただいたのですが、もちろんその翻訳会社にはTradosについて知っている人はいなかったので、その担当者の方もバッタバタだったようです。

また、どのぐらいの登録翻訳者がTradosを所有しているのかといった情報もないので、最終的には翻訳者にTradosの購入を依頼しなければならず、かなり大変だったのではないでしょうか。

翻訳会社にとっても、翻訳者にとっても、クライアントの突然の方針変更は「寝耳に水」だったので、その数ヶ月は大変だったのではないでしょうか。

他人事のように書いていますが、私はその時点ですでにTradosを所有し、使っていましたので、特に支障はありませんでした。ただ、「翻訳パッケージ」という形式で仕事を受け取るのは初めてだったので、緊張はしましたが、別段難しいことではないので、特に問題はありませんでした。

実はこの会社の登録翻訳者の方々と顔を合わせる機会があったのですが、そのときに、他の登録翻訳者の方々が、取りあえず翻訳パッケージを開くことができ、翻訳作業はしているけれど、「翻訳支援ツールが翻訳会社ファーストなのは当たり前」でも書いたように「訳文の生成」ができないとか、用語集を反映できないとか、結構あたふたしている方が多く、またその時に名刺交換させていただいた方から、翻訳会社の方より藤原さんの方が知っているので、と数回翻訳支援ツールの使用方法について質問をいただいたことがあります(それも複数の方から)。

そうした経緯があって、この翻訳支援ツールマスター講座を立ち上げることになったのですが、現在、翻訳支援ツールを使用していない人にとっては、「使わない理由」を挙げることで、今の使っていない自分を正当化しているのでは?という気がしてきました。

文章がぶつ切れになる?

これは、かなり前から言われていることですよね。でも、訳出するときは、常に文単位で訳出しませんか?これは翻訳支援ツールを使用しているかどうかには関係なく、一般的にさぁ翻訳しようと思ったときに、文章の細部を無視して、段落ごとに訳出することはあり得ませんよね。

ただ、一文を訳出してみて、前後の文章の流れが途切れないようにするなど手を加える必要があるのも翻訳支援ツールを使っているかどうかにまったく関係のないところ。

これは例えば、比較的いい印象のない「T」(←いきなりイニシャルトーク)は、バイリンガルファイルについては秀逸です。

一語一句モレがないか(意味上でも)チェックするときには原文と訳文が上下に表示される形式を使用し、全体の流れを確認したいときには「並列」で表示します。

そうすると「訳文」のみ確認でき、必要に応じて横に目を向けると原文も確認できるので、非常に作業がしやすいです。

訳文を挿入するスペースが狭い?

こちらも以前「翻訳支援ツールの作業スペースが狭いと感じている方へ」で書きましたが、翻訳支援ツールの使用を指定しているからといって、翻訳支援ツール上でのみ翻訳作業をする必要はまったくありません。

要は「納品物」として、きちんと翻訳支援ツールを使用したときの指定ファイルに仕上がっていればいいだけの話であって、テキストエディタを使用したり、wordやマインドマップなどのソフトを使用して、自分が理解しやすいように色々工夫したあとに翻訳支援ツールに戻せばいいだけのことです。「翻訳支援ツール上での作業」が指定されているわけではありません。

それでも使いにくい点はある

残念ながら、翻訳者にとって使いにくい点も多々あります。その1つにタグの表示があげられます。

特許翻訳の文書ではそれほど多く、また特許明細書ではタグを必要とする飾り文字等はほとんど不要になってくるので、訳文とは関係なく文章の後ろに残しておくことで案じる必要はありません。

ただ、それ以外の文章ではタグは触ってはいけないものとされていることが多いので、この点には注意を要します。ある程度、タグの内容を表示している方が自分で作業中にタグ内容を確認できるので、いいかと思いますが、memsourceでは、タグが暗号化されていて、???なこともありますよね。こういうときには、原文を確認するしか手段がないのですが、ただこのタグも上書き翻訳のときも注意が必要である点については変わりがないのではないでしょうか。

また不適切なところで文章が区切られる点については、翻訳支援ツールを使いづらくしている大きな理由ですね。

そのほとんどが、翻訳会社からは分節を変更しないようにという指示がでていると思うのですが、その分節の区切りに合わせて、訳文を反映させる必要があるのは、非常にやりにくいです。

また、私の場合、memoQで翻訳したものをTradosに移行することがあるのですが、このときには、翻訳支援ツールによってタグや分節の区切り方法が若干違うことがあるので、例えば、「一括翻訳」でそのデータを反映させようと思っても、すんなり反映できないことが多く、結局作業が増えてしまうこともあります。

これを避けるために、私は両方のツールを立ち上げて、同時に進行させるようにしていますが、不便であることに変わりはありません。

100%マッチ部分はそのまま流用?

翻訳支援ツールを使用するにあたって、一番の懸念材料はこの「100%マッチ部分をそのまま流用するのか?」という点になるかと思います。

このあたりは、その傾向自体が徐々に変わっているように思えます。つまり、その元のデータに重要なミスが含まれている可能性が十分にあるという点について、翻訳会社やクライアント側が把握してきているように思えます。

そのときの対処法として、訳文に変更は加えずに、翻訳支援ツールのコメント欄にコメントを入れたり、別ファイルを作成する必要があるのですが、ただ、こういった作業を繰り返しているうちに、今後はこの部分にも対価の支払いが発生する可能性はあるかと思います。希望的観測ですが。

要は何でもかんでも既訳部分に難癖をつける必要はありませんが、「ここは違うんじゃない?」と指摘をし続けることで(やんわりと)、仕事請負人としての評価が上がる可能性はあるわけですよね。

翻訳支援ツールが翻訳会社ファーストなのは当たり前」でも書きましたが、今後、ポイントチェッカーという存在は不要になるかと思います。各翻訳支援ツールにはQAチェックする機能が付いていて、今は不要な箇所もかなり多く拾ってはきますが、いずれのツールも「無視する」という操作をしてしまえば、それほど煩わしい存在ではなくなります。

そうなると、翻訳者は納品時にこのQAチェックを機能させることが必須になってくるわけで、Memsourceに至っては、このチェックをしない限り「翻訳完了」にはならない設定もできるようになっています。

最後に

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「今」はまだ翻訳会社から翻訳支援ツールの使用を求められていないという方も多いかと思います。ただ、来年のその状態が続いていると言えますか?本当に今後も翻訳支援ツールを使わずに翻訳の仕事が継続できますか?

上にも書いたように、何の前触れもなく突然○月からはこちらを使用した案件となりますという通達が来る場合もあります。本当にあった話です。

そんな話が突然来たときに、「わかりました。じゃぁこういうときの貴社での対処法を予めご教示ください」といった連絡をこちらからできれば、「ああ、この人は使っている人だな」と印象を与えることができるかと思います。

「言われて始めるようでは遅い」ですよね(←よく子供達に言うセリフですがww)。

時代遅れの翻訳者とならないように、先に先に準備を進めていきましょう。

ありがとうございます」にも書きましたが、現在迷われている方などは、どのような点で迷っているか、下のお問い合わせフォームからぜひお聞かせください。

KokoDoki Companyスタッフの大島と藤原が回答させていただきます。

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